ペインとは「痛み」のことです。この痛みを緩和させることを目的としたのがペインクリニックという診療科です。
例えば、頸や腰、肩の痛み等のうち、何らかの理由で根本的な治療(手術等)ができない場合や手術したけれども痛みが残るという場合等に、ペインクリニックの治療を行います。治療の内容は主に薬物療法や神経ブロック療法等になります。
当院では、大学病院等で治療された患者様のフォローアップもしています。
ペインクリニックを中心に、外科・内科、リハビリ各科の視点から痛みに対して総合的にアプローチを行います。
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「痛み」とは?
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国際疼痛学会(IASP)では、痛みとは、「組織の実質的あるいは潜在的な障害に伴う、あるいは、そのような障害を表す言葉で表現される不快な感覚あるいは情動体験」と定義されています。
痛みの程度は、軽微なものから、我慢できるが不快なもの、さらに耐えられないものまで様々です。また、短期間出現する急性の痛みもあれば、長く続く慢性的な痛みもあります。急性の痛みは身体に生じた異常事態を知らせるシグナルとして大切な役割を持っています。
この警告の役割を終えてもなお、痛みが様々な理由で長く存在していると、より強い痛みや新しい種類の痛みが加わることもあり、病気の箇所の異常や機能低下だけでなく、身体的・精神的・社会的要因が複雑に関与し始め、生活の質が低下したり、外出できない・仕事に集中できない・人に理解できず辛い等のストレスも抱えることになる「慢性痛」という状態を招きます。このような状態になったときはもちろん、なりそうな時には、苦痛を和らげ消失させることが重要です。
●肩こり、首こり ●肩関節周囲炎・四十肩・五十肩 ●腰痛(腰椎椎間板ヘルニア等) ●変形性膝関節症・膝痛
●末梢性顔面神経麻痺 ●顔の痙攣 ●眼瞼痙攣 ●三叉神経痛など顔面の痛み ●がん性疼痛頭痛
●手術後の痛み ●頭痛疾患 ●肋間神経痛 ●首肩腕の痛み(外傷性頚部症候群、頚椎症、頚腕症候群等)
●帯状疱疹関連痛 ●手掌多汗症 ●舌咽神経痛 ●口腔疾患(舌痛症等) ●脊椎疾患による腰下肢痛
●遷延性術後痛 ●幻肢痛 ●上肢痛 ●各種原因の末梢性神経障害性疼痛 ●バレ・リュー症候群
●腕神経叢引き抜き損傷 ●会陰部痛 ●中枢性神経障害性疼痛(視床痛等)
●虚血性心疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病)による痛み ●複合性局所疼痛症候群(CRPS)
薬物療法
痛みを和らげる薬(消炎鎮痛剤)や神経に作用する薬、末梢血管を広げて神経の血流を増やして症状を和らげる薬、中枢神経に作用して過剰に興奮している神経を鎮める薬等を用いて症状の改善を図ります。
神経ブロック
痛みや神経機能の亢進や低下といった異常が起こっている患部に直接針を挿入し、薬剤を注入する治療法です。神経内の刺激伝導を遮断(ブロック)することで、痛みやしびれを軽減させることが目的です。痛みの経路になっている知覚神経を遮断することになるため、痛みを取り除く他、血流改善・筋弛緩効果もあります。神経ブロックには様々な種類があり、痛みの種類や症状によって使い分けています。
●星状神経節ブロック ●硬膜外ブロック
●三叉神経節ブロック(高周波熱凝固)
●後頭神経ブロック ●神経根パルス高周波
●三叉神経各種末梢枝ブロック
●神経根ブロック ●椎間関節ブロック
●(腰部、胸部、頚部)交換神経節ブロック
●各種末梢神経ブロック(大腿神経、坐骨神経等)
●上下腹神経叢ブロック ●脊髄後枝内側枝ブロック
●腹腔神経叢(内臓神経)ブロック
●トリガーポイントブロック ●腕神経叢ブロック
●下腸間膜動脈神経叢ブロック
その他
●脊髄刺激装置植え込み術
●経皮的硬膜外神経形成術
●くも膜下鎮痛法